2008年11月05日

ストックオプション

ストックオプションはキャッシュアウトなしに経営者及び従業員に報酬を与え、かつ、業績を良くして株価を上げるインセンティブを与える制度であり、この制度を活用している企業は多々あると思いますが、個人的には著しい欠陥を有しているものだと思っております。現在のような株式市場が暴落している時は分かり易いのですが、株価は業績と需給によって決まるものです。よって、経営者や従業員の努力や能力によるものだけでなく、株式市況や景気動向に依存する割合も相当程度大きいのです。よって、経営者や従業員の努力や能力に関係なく、株式市況が良くなり株価が上がると、その享受を一方的にストックオプションを付与された者は享受し(本来これは株主が享受すべきものです)、下落局面には当然ですが全くその損害を受けることはありません。よって、いい時だけ享受し悪い事は被害を被らないという制度なのです。こうした株価下落局面で、ストックオプションの行使価格を切り下げながら複数回発行し続け、株価のリバウンドにより株価が上昇した場合においては、仮に下落前の株価とリバウンド後の株価が同額で株価が全く上がっていない状況であるにもかかわらず、ストックオプションを付与された者は多額の利益を享受してしまうのです。
こうした事を考えると、資金がないのであれば、エクイティファイナンスを行った上で、業績(対前期比、対予算比等)に応じて、キャッシュアウトする賞与等を支払うのがありうべき姿であり、株主価値が毀損しないことになると思います。
posted by Japan Corporate Valuation Institute,Ltd. at 20:45| Comment(40) | TrackBack(0) | コーポレートファイナンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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